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フェイクコンテンツの識別
ある人物の複数の動画コンテンツを学習用の教師データとして深層学習技術を用いれば,虚偽の発言をリアルに再現したフェイクコンテンツが作成可能です.この技術を悪用してフェイクコンテンツを作成してインターネットを介して発信した場合,多大なる影響が及ぼされる可能性が指摘されています.この問題に対応すべく,「人工的に創造されたコンテンツ」と「正常に撮影されたコンテンツ」を判定する技術が必要であります.本研究では,対象のコンテンツが人工的な処理により創造されたものであるか否かを識別するためのシステムを実現を目指しています.
関連発表
A. Malik, M. Kuribayashi, S. M. Abdullahi, A. N. Khan,
"DeepFake Detection for Human Face Images and Videos: A Survey,"
IEEE Access, vol.10, pp.18757-18775, 2022.
鎌苅康大, 栗林稔, 舩曵信生,
"オンライン会議システム上の画面キャプチャによる情報漏洩の対策の一検討,"
2022年暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS2022), 2022.
A. Qureshi, D. Megias, M. Kuribayashi,
"Detecting deepfake videos using digital watermarking,"
Asia-Pacific Signal and Information Processing Association Anual Sumit and Conf. (APSIPA ASC 2021), pp.1786-1793, 2021.
D. Takeshita, M. Kuribayashi, N. Funabiki,
"A study of feature extraction suitable for double JPEG compression analysis based on statistical bias observation of DCT coefficients,"
Asia-Pacific Signal and Information Processing Association Anual Sumit and Conf. (APSIPA ASC 2021), pp.1808-1814, 2021.
K. Nakai, M. Kuribayashi, N. Funabiki,
"A study of privacy protection of photos taken by wide-angle surveillance camera,"
Asia-Pacific Signal and Information Processing Association Anual Sumit and Conf. (APSIPA ASC 2021), pp.1865-1871, 2021.
竹下大地, 栗林稔, 舩曵信生,
"DCT係数の統計的な偏り観測における二重JPEG圧縮履歴解析に適した特徴成分選出に関する考察,"
信学技報, EMM 5月, 2021.
河田健斗, 栗林稔, 舩曵信生,
"顔領域に注目してファインチューニングした事前学習済みCNNモデルに基づくディープフェイク動画検出法",
2021年暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS2021), 2021.
M. Kuribayashi, K. Kamakari, K. Kawata, N. Funabiki,
"Classification of video recaptured from display device,"
Proc. APSIPA ASC 2020, pp.1381-1385, 2020.
中嶋直也, 栗林稔, 舩曵信生,
"ブロックサイズの違いがDCT係数の頻度分布を利用したJPEG画像圧縮履歴解析に与える影響,"
EMM 11月, 2020.
小浦啓太郎, 栗林稔, 舩曵信生,
"DCT係数のヒストグラムを利用したJPEG画像のCNNに基づく編集履歴解析,"
信学技報, EMM 3月, 2020.
鎌苅康大, 河田健斗, 栗林稔, 舩曵信生,
"ビデオカメラを用いたディスプレイ再撮により作成された違法動画の検出法,"
信学技報, EMM 3月, 2020.
小浦啓太郎, 栗林稔, 舩曵信生,
"DCT係数のヒストグラムの偏りを利用したJPEG画像の編集履歴解析,"
コンピュータセキュリティシンポジウム (CSS2019), 2019.
敵対的事例の検出
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた画像認識においては,顔認証,自動運転など多くの研究分野で応用されています.しかし,意図的にノイズを加えることでCNN画像認識システムに誤検知させることが可能である問題があります.この問題は敵対的事例と呼ばれ,機械学習による分類器においては,避けることのできない特性とも言えます.本研究では,画像認識システムに入力される画像が,正常な画像であるか,意図的なノイズを加えられた敵対的事例であるかを前処理により識別させることで機械学習システムの健全性を守ることを目指しています.
関連発表
H. H. Nguyen, M. Kuribayashi, J. Yamagishi, I. Echizen,
"Effects of Image Processing Operations on Adversarial Noise and Their Use in Detecting and Correcting Adversarial Images,"
IEICE Trans. Inf. Syst., vol.E105-D, no.1, pp.65-77, 2022. 2022年度電子情報通信学会論文賞
角森健太, 山﨑裕真, 栗林稔, 舩曵信生, 越前功,
"JPEG圧縮由来の歪み信号に対する応答特性に基づくAdversarial Examples検知手法,"
2022年暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS2022), 2022.
Y. Yamasaki, M. Kuribayashi, N. Funabiki, H. H. Nguyen, I. Echizen,
"A study of feature extraction based on denoising auto encoder for classification of adversarial examples,"
Asia-Pacific Signal and Information Processing Association Anual Sumit and Conf. (APSIPA ASC 2021), pp.1815-1820, 2021.
山﨑裕真, 栗林稔, 舩曵信生, グエン フイ ホン, 越前功,
"複数のAuto Encoderに対する応答特性を用いた敵対的事例の検出法,"
信学技報, EMM 5月, 2021.
東亮憲, 栗林稔, 舩曵信生, Huy Hong Nguyen, 越前功,
"複数のフィルタ強度によるCNN画像分類器の応答特性を用いた敵対的事例の検出法,"
信学技報, EMM 3月, 2021. 2020年度 第6回EMM研究会 優秀学生発表賞
A. Higashi, M. Kuribayashi, N. Funabiki, H. Nguyen, I. Echizen,
"Detection of adversarial examples based on sensitivities to noise removal filter,"
Proc. APSIPA ASC 2020, pp.1386-1391, 2020.
東亮憲, 栗林稔, 舩曵信生, Huy Hong Nguyen, 越前功,
"非可逆圧縮の圧縮率の変化に伴う挙動解析に基づく敵対的事例の検知法,"
信学技報, EMM 3月, 2020.
東亮憲, 栗林稔, 舩曵信生, Nguyen Huy H., 越前功
"JPEG圧縮による画像分類器の識別結果の変動解析に基づく敵対的事例の検知法,"
コンピュータセキュリティシンポジウム (CSS2019), 2019.
PWS2019学生論文賞受賞
深層学習モデルの知的著作権の保護
ニューラルネットワークを用いた深層学習の研究を効率的に発展させるためには,ビッグデータを用いて学習させたDNNモデルの共有が重要です.このような学習済みモデルを作成するには多大な処理能力,膨大な数のデータが必要になります.作成された学習済みモデルの重みには大きな価値があり,苦労して学習させたモデルを安易にコピーされないように,不正利用を防ぐ必要が生じています.本研究では,DNNモデルの学習時に電子透かしを埋め込むことでこの問題への対策を施します.画像,映像,音響信号などのマルチメディアコンテンツとは異なり,透かし情報の埋め込みによるDNNモデルの性能低下を抑えつつ,簡単には取り除くことのできない手法の実現を目指しています.
関連発表
T. Yasui, T. Tanaka, A. Malik, M. Kuribayashi,
"Coded DNN watermark: robustness against pruning models using constant weight code,"
Journal of Imaging, vol.8, no.6, 16pages, 2022.
M. Kuribayashi, T. Tanaka, S. Suzuki, T. Yasui, and Nobuo Funabiki,
"White-box watermarking scheme for fully-connected layers in fine-tuning model," 9th ACM Workshop on Information Hiding and Multimedia Security (IH&MMSec'21), pp.165-170, 2021.
M. Kuribayashi, T. Tanaka, Nobuo Funabiki,
"DeepWatermark: embedding watermark into DNN model,"
Proc. APSIPA ASC 2020, pp.1340-1346, 2020.
田中拓朗, 栗林稔, 舩曵信生,
"DM-QIMによるDNNモデルの全結合層に対する電子透かし法,"
信学技報, EMM 9月, 2020.
2020年 EMM研究会 学生研究賞受賞
田中拓朗, 安井達哉, 栗林稔, 舩曵信生,
"DM‐QIMによるディープニューラルネットワークの重みに対する電子透かし法,"
信学技報, EMM 3月, 2020.
PDFファイルへのデータハイディング
電子透かし技術では主に,静止画や動画像,音楽などのデジタルコンテンツを扱っていました.一方,オフィス文書などのデジタルライブラリや情報配信サービスでは,流出するコンテンツの大部分は電子文書であります.本研究では,デファクトスタンダードとして広く使われているPDFファイルに着目し,そのファイル構造をうまく活用して電子透かし技術を適用することを対象にしています.
関連発表
M. Kuribayashi and K.S. Wong,
"StealthPDF: Data hiding method for PDF file with no visual degradation,"
Journal of Information Security and Applications, vol.61, no.102875, 10pages, 2021.
M. Kuribayashi and K. S. Wong,
"Improved DM-QIM watermarking scheme for PDF document,"
Proc. IWDW2019, LNCS 12022, pp.171-183, Springer-Verlag, 2019.
Best Paper Award受賞
N. Nursiah, K. S. Wong, and M. Kuribayashi,
"Reversible data hiding in PDF document exploiting prefix zeros in glyph coordinates,"
Proc. APSIPA ASC 2019, pp.1298-1302, 2019.
M. Kuribayashi, T. Fukushima, and N. Funabiki,
"Robust and secure data hiding for PDF text document,"
IEICE Trans. Information and Systems, vol.E102-D, no.1, pp.41-47, 2019.
M. Kuribayashi, T. Fukushima, and N. Funabiki,
"Data hiding for text document in PDF file,"
Proc. IIHMSP2017, pp.390-398, 2017.
Excellent Paper Award受賞
福島拓哉, 栗林稔, 舩曵信生,
"PDF文書に対する電子指紋システムへの適用を考慮した行セグメント分割埋め込み法,"
信学技報, EMM 11月, 2018.
T. Fukushima, M. Kuribayashi, and N. Funabiki,
"Imperceptible watermarking scheme with large capacity considering the internal structure of PDF file,"
IWSEC2017, Poster Session, 2017.
福島拓哉, 栗林稔, 舩曵信生,
"PDFファイルの内部構造を考慮した大容量電子透かし法,"
信学技報, EMM 5月, 2017.
2017年度 EMM研究会 学生研究賞受賞
機密性の高いオフィス文書の管理
文書ファイルの電子化に伴って,不正な処理に対する対策が急務となっています.情報漏洩対策や情報の改ざん対策などは以前から重要視されており,暗号技術の適用が主な手段として運用されています.しかし,内部犯行により生じる漏洩事件においては,たとえ高度な暗号処理がなされていたとしても,復号鍵を持った犯人には何の威力も発揮しません.本研究では,正規にアクセスを許可されたユーザにおいて,極秘情報を閲覧した際に,その履歴がファイル内に自動的に保存されるようなシステムの実現を目指しています.
関連発表
M. Kuribayashi and N. Funabiki,
"Efficient decentralized tracing protocol for fingerprinting system with index table,"
Proc. APSIPA ASC 2019, pp.1595-1601, 2019.
M. Kuribayashi and N. Funabiki,
"Decentralized tracing protocol for fingerprinting system,"
APSIPA Trans. Signal and Information Processing, vol.8, 8 pages, 2019.
M. Kuribayashi and N. Funabiki,
"Fingerprinting for multimedia content broadcasting system,"
J. Information Security and Applications, vol.41, pp.52-61, 2018.
上田貴大, 栗林稔, 舩曵信生,
"組織内からの情報漏洩対策のための電子指紋システムの提案,"
信学技報, EMM 5月, 2017.
T. Ueda, M. Kuribayashi, and N. Funabiki,
"Fingerprinting system for secure manegement of sensitive data,"
IWSEC2017, Poster Session, 2017.
上田貴大, 栗林稔, 舩曵信生,
"組織内の情報漏洩を抑止するための電子指紋システムの実装評価,"
信学技報, EMM 11月, 2018.
デザイン化された二次元コードとそのアプリ開発
標準の二次元コードは,白黒のモジュールだけで構成されており,その外見はランダムな模様となっています.一方,誤り訂正能力やモジュールの形状を変更させることで,二次元コード上にロゴマークなどの画像を表示させることが可能です.本研究では,誤り訂正符号の符号化関数をうまく修正して,表示する画像の品質を保ちつつ,通常のアプリで読み取り可能な二次元コードの作成アプリを開発しています.画質をあまり劣化させずに,画像中に二次元コードを忍ばせるために,視覚的に重要な箇所をうまく避けつつ,通常のコードの構造を変更させない符号化法を考案しています.
関連発表
栗林稔, 村上元貴, 舩曵信生,
"画像の局所的な特徴を考慮したデザインQRコードに関する考察,"
信学技報, EMM 5月, 2018.
M. Kuribayashi and M. Morii,
"Aesthetic QR code based on modified systematic encoding function,"
IEICE Trans. Information and Systems, vol.E100-D, no.1, pp.42-51, 2017.
M. Kuribayashi, E.-C. Chang and N. Funabiki,
"Watermarking with fixed decoder for aesthetic 2D barcode,"
Pro. IWDW2016, LNCS 10082, pp.379-392, Springer-Verlag, 2017.
行地将智, 栗林稔, Ee-Chien Chang, 舩曵信生, 石原信也,
"任意の画像のQRコード化とそのアプリ開発,"
信学技報, EMM 11月, 2016.
M. Kuribayashi and M. Morii,
"Enrichment of visual appearance of aesthetic QR code,"
Proc. IWDW2015, LNCS 9569, Springer-Verlag, pp.220-231, 2015.
電子指紋技術
不正コピーの対策として,コンテンツを複数のユーザに配布する際に,コンテンツごとに異なる識別情報を電子透かし技術を用いて埋め込む方法が電子指紋技術です.もし不正コピーが発見された場合に,この識別情報が正しく抽出されれば不正コピーをしたユーザを一意に識別することができます.一方,複数のユーザがコンテンツを比較して違いを解析すると,正しく不正者を特定できなくなる恐れがあります.このような攻撃は結託攻撃と呼ばれており,その対策として結託耐性符号が考案されています.符号長が理論上最短オーダとなる符号の構成法が発表されて以来,不正者を特定するための復号法に注目が集まっており,理論上の最適な復号法も考案されています.本研究では,その最適な復号法に極めて近い特性を得られるように不正コピーから抽出した信号から結託攻撃のパラメータ推定を信号処理技術と機械学習技術をうまく活用して実現することを目指しています.
関連発表
T. Yasui, M. Kuribayashi, N. Funabiki, and I. Echizen,
"Near-optimal detector for binary Tardos code by estimating collusion strategy"
IEEE Trans. Information Forensics and Security, vol.15, pp.2069-2080, 2020.
2020年度 公益財団法人 電気通信普及財団 テレコムシステム技術学生賞 佳作
安井達哉, 栗林稔, 舩曵信生,
"雑音環境における電子指紋符号に対する結託攻撃の攻撃戦略推定,"
信学技報, EMM 3月, 2019. 2018年度 第6回EMM研究会 優秀ポスター賞
M. Kuribayashi, "Bias-based binary fingerprinting code under erasure channel,"
IEEE Signal Processing Letters, vol.25, no.9, pp.1423-1427, 2018.
安井達哉, 栗林稔, 舩曵信生, 越前功,
"電子指紋符号における不正者検出のための動的戦略推定,"
信学技報, EMM 9月, 2018.
安井達哉, 栗林稔, 舩曵信生,
"電子指紋符号における結託攻撃の戦略推定,"
信学技報, EMM 3月, 2018. 2017年度 第6回EMM研究会 優秀ポスター賞
M. Kuribayashi and N. Funabiki,
"Universal scoring function based on bias equalizer for bias-based fingerprinting codes," IEICE Trans. Fundamentals, vol.E101-A, no.1, pp.119-128, 2018.