理論は科学である。歴史的には、科学と技術は概念として分離していた。
実は昔は日本でも「科学・技術」と書いた。何の役に立つのですか?
という常套的攻撃を恐れず、自分が面白いと思えるテーマに生きる決意をする。
多くの場合、本当に役に立つものは今すぐには役に立たないものである。
例えば約350年前、 Pierre de Fermat が本の余白に落書きしたおかげで数論が発展し、
現在の公開鍵暗号が生まれたことを想起しよう。
これは筆者の恩師による警句である。その反例となるべく意欲を燃やしむのが真意とも思われる。
しかし、G. H. Hardy による ``No mathematician should ever allow himself to forget that mathematics, more than any other art or science, is a young man's game.''
(A Mathematician's Apology, 1940) と不思議に符合する。
何でも知りすぎた結果、類型的なアイデアしか浮かばず、新しいものが出難くなる、そういう年齢なのかもしれない。